エンジン別に Android SDK を設定する
Tags:BaseEngine.iniを使用してエンジンレベルでAndroid SDKを設定する方法、設定ファイルの優先順位と階層構造、各設定ファイルへの反映タイミングについて解説します。
この記事を読むとわかること
この記事では、以下の内容について説明します。
- BaseEngine.iniを使用してエンジンレベルでAndroid SDKを設定する方法
- 設定ファイルの優先順位と階層構造
- 各設定ファイルへの反映タイミングと注意点
開発環境
- Unreal Engine: 5.6
概要
Unreal Engineでは、プロジェクトごとの設定に加えて、エンジンレベルでデフォルトのAndroid SDK設定を行うことができます。この設定により、新しいプロジェクトを作成する際に毎回SDK設定を行う必要がなくなり、開発効率が向上します。
本記事では、BaseEngine.iniファイルを使用したエンジンレベルでのAndroid SDK設定方法について詳しく解説します。
BaseEngine.iniでのAndroid SDK設定
設定ファイルの場所
エンジンレベルでのAndroid SDK設定は、以下のファイルに記述します。
<ENGINE_DIR>\Engine\Config\BaseEngine.ini
設定内容
BaseEngine.iniファイルに、以下の設定を追加します。
[/Script/AndroidPlatformEditor.AndroidSDKSettings]
SDKPath=(Path="") ; FDirectoryPath型 - Android SDKのパス
NDKPath=(Path="") ; FDirectoryPath型 - Android NDKのパス
JavaPath=(Path="") ; FDirectoryPath型 - Java JDKのパス
SDKAPILevel= ; FString型 - SDK APIレベル
NDKAPILevel= ; FString型 - NDK APIレベル
各設定項目が空白の場合は、対応する環境変数(ANDROID_HOME, NDKROOT, JAVA_HOME)にフォールバックします。
環境変数が既に設定されている場合は、BaseEngine.iniの対応する項目を空白のままにしておくことで、環境変数の値が自動的に使用されます。
設定の反映タイミング
BaseEngine.iniの設定は、エンジンが起動するタイミング(プロジェクトを開くタイミング)で参照されます。設定が正しく行われていると、プロジェクト設定のAndroid SDK項目にBaseEngine.iniの内容が反映されます。
設定ファイルの優先順位
Unreal Engineの設定ファイルは階層構造を持ち、下位のファイルが上位のファイルの設定を上書きします。Android SDK設定における優先順位は以下の通りです。
上位の設定ファイル(上側)が、下位の設定ファイル(下側)の値を上書きします。
各設定ファイルの詳細
設定ファイル | パス | 反映タイミング | 説明 |
---|---|---|---|
BaseEngine.ini | <ENGINE_DIR>\Engine\Config\BaseEngine.ini | エンジン起動時(プロジェクト開始時) | エンジンレベルのデフォルト設定(全プロジェクト共通) |
WindowsEditor\Engine.ini | プロジェクト名\Saved\Config\WindowsEditor\Engine.ini | プロジェクト設定画面で値を変更し たとき | プロジェクト固有の設定(そのプロジェクトのみ) |
UserEngine.ini | Users\ユーザ名\AppData\Local\Unreal Engine\Engine\Config\UserEngine.ini | プロジェクト終了時(自動保存) | ユーザー固有の設定(ユーザー環境依存) |
注意事項
BaseEngine.iniの設定を正しく反映させるために、以下の点にご注意ください。
他の設定ファイルの確認
以下のファイルにAndroid SDK設定が含まれていないことを確認してください。
プロジェクト名\Saved\Config\WindowsEditor\Engine.ini
Users\ユーザ名\AppData\Local\Unreal Engine\Engine\Config\UserEngine.ini
これらのファイルに設定が含まれている場合、BaseEngine.iniの設定より優先されるため、意図した動作にならない可能性があります。
設定ファイルの保存タイミング
各設定ファイルは以下のタイミングで更新されます。
- WindowsEditor\Engine.ini: プロジェクト設定で値を変更したタイミング
- 注:BaseEngine.iniから反映された値は含まれません(エディタ上で直接変更していないため)
- UserEngine.ini: プロジェクトを閉じるタイミング
- WindowsEditor\Engine.iniの値がコピーされます
- この際、バリデーションチェックは行われません
コンフィギュレーションファイルはこれら以外にも色々あります。公式ドキュメントが詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。
まとめ
BaseEngine.iniを使用することで、エンジンレベルでAndroid SDKのデフォルト設定を行うことができます。この方法により、複数のプロジェクト間で一貫したSDK設定を維持でき、開発効率の向上が期待できます。
設定ファイルの優先順位を理解し、適切に管理することで、意図しない設定の競合を避けることができます。